昔から、美人の例えとして、
「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花」
といわれてきました。
実は、この三つの植物は漢方の生薬として、とても大切なものです。
それも、特に美しくありたいと願う女性に!
もちろん男性にも使います。
生薬としての芍薬は根を使います。
赤芍(せきしゃく)は涼血、活血薬として。
白芍(びゃくしゃく)は養血薬として。
牡丹も根を使い、根の皮を牡丹皮(ぼたんぴ)といって、涼血薬として。
百合は生薬としては「びゃくごう」と発音しますが、野菜として使うユリ根と同じく鱗茎を、補陰薬として潤肺止咳や清心安神として。
いずれも血をきれいにしたり、貧血予防、心の安定や安眠に関係しています。
ね、どれも美しくあるために欠かせないものでしょう?
お料理に使えるものを二つ紹介します。
一つはユリの一種、支那萱草(しなかんぞう)のつぼみです。
金針菜(きんしんさい)といい、鉄分が多く、薬膳料理によく使われます。
手に入りやすい乾物は戻して、きんぴらなどにしていただきます。
もう一つは主にコオニユリを使いますが、数年かけて育てられた鱗茎、ユリ根です。
球根のようですが、土の中にある養分を蓄えて多肉化した葉と短い茎で、玉ねぎなどと一緒です。
秋に収穫され、しばらく寝かせて美味しくなったものがお正月から二月頃にかけて出回ります。
茶わん蒸しに入れたり、ユリ根のきんとんにしたりしますが、スープ、炒め物にいれるのもおすすめです。
いずれも食べすぎは禁物。
バランスの良い食事の中で、食材の特性を知って生かしましょう。