明日、10月24日からは二十四節気の霜降(そうこう)が始まります。
暦の上の秋も終盤になりました。
日が落ちると気温はぐっと下がり、朝方は霜が白く降りているのも見られるようになります。
日中は空気が澄みわたり、野に山にハイキングや散歩に出かけるにも良い気候です。
春には、七草粥にする「春の七草」がありますが、秋の野山には見て美しい「秋の七草」があります。
この秋の七草…萩(はぎ):薄(すすき):葛(くず):撫子(なでしこ):女郎花(おみなえし):藤袴(ふじばかま):桔梗(ききょう)…は観賞用、茶花、お月見のときのすすきであったりと色々な使われ方がありますが、古くから民間薬や漢方薬の原料としても使われてきました。
今日はこの中の『葛』と『桔梗』のお話です。
『葛』
クズはとても繁殖力の強いマメ科のつる性植物です。
花は葉に隠れて目立たないですが、美しい紫色をしていて房状に咲き、空地や野山のいたるところで覆い茂っているのをよく見かけます。
このクズの根にはデンプンが多く含まれると共に、イソフラボンなど薬効のある成分も含まれています。
クズの名前の由来は昔、大和の国栖(くず)の人が根から取ったでん粉を「国栖粉」と名付けて売ったことによるといわれています。
なかでも吉野葛は特に有名です。
クズのでん粉は粘りが強く、またなめらかさもあり、くず湯、葛ひき、葛きりなど製菓や料理にと広範囲に使われています。
子どものころ、身体が冷えたり、風邪気味の時にくず湯を飲まれた方もいらっしゃるかと思います。
クズの根は葛根と呼ばれ、風邪の引き始めや後頭部、肩がこる時にお世話になる漢方薬「葛根湯」の主原料です。
『桔梗』
キキョウは草丈50~100センチの多年生草本で、茎の先に釣鐘型の紫色(まれに白色)の花を開花します。
日当たりのよい山野・乾いた草地に自生しますが、古くから観賞用に栽培されて、切り花として愛でられていました。
根は白色で太く、長い紡錘形で地中にまっすぐのびています。
根を食用にすることもあるそうです。
この根は生薬では桔梗根(ききょうこん)と呼ばれ、キキョウサポニンという成分が含まれています。
咳や痰、喉の痛み、しわがれ声によい漢方薬にもこの生薬が入っています。
また、のど飴にも桔梗根エキス入りのものがあります。