いよいよ今年も、あと3日で終わりです。
心せわしいなかにも、無事に年を越せる時期を迎えることができてホッとしています。
今年の大晦日は、「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」。
秋に蒔いた麦が雪の下で芽を伸ばす時期、という意味です。
「麦」の字と、「年越し」ということで、2017年最後はやはり、なんとな〜く蕎麦(そば)についてお話しします。
といっても麦はイネ科、蕎麦はタデ科の植物です。
いまやスーパーフードとして、もてはやされるようになった蕎麦。
毛細血管を強くする、血糖値の上昇をおさえる、血管の弾力性を高める、コレステロールを下げる、腸の働きを活発にするなど、いろいろと言われています。
血管に働きかけるのは、蕎麦に含まれる栄養素ルチンによるものです。
ルチンは、水に溶けやすいと言われています。
茹で汁に溶け出ていることを考えると、蕎麦を食べ終わったら自然と蕎麦湯にも手が出ます。
また、ルチンが特に多い蕎麦の実の表層部分にはタンパク質も多く含まれています。
蕎麦茶で飲むのもおすすめです。
つい先日、そばがきにすればルチンもタンパク質も丸ごととれるのでは?と思い立ち、手打ち蕎麦のお店で注文してみました。
店員さんに「そば、、、そば・ガ・キ・・・ですか?」とキョトンとされてしまいました。
それはさておき、蕎麦を食べるときの薬味や具の存在も大事です。
風味だけでなく、蕎麦の効用を引き出す役割も担うからです。
薬膳では、食材のもつ“体を温めたり冷やしたりする”性質を、「温」「熱」「寒」「涼」とそのいずれでもない「平」に分類します。
蕎麦は「涼」ですから、体を冷やしすぎないためにも「温」のネギやワサビは欠かせない存在です。
一緒に食べることは理にかなっています。
そのうえ、ネギはアリシンを含み、蕎麦と合わせて食べると蕎麦のビタミンB1の吸収を高め、疲労を回復します。
ワサビは、辛み成分が代謝を高めてくれます。
ゴマは「平」です。ビタミンB12やカルシウムを多く含み、動脈硬化を防ぎ、血管を若々しく保ちます。
ゴマの油分は大腸で便の滑りをよくするので、便秘対策にもなります。
大根は「涼」です。ジアスターゼが消化を助けます。
大根おろしにして一緒に食べればビタミンCも豊富にとれます。
海苔は「寒」ですが、蕎麦に少ない成分を多く含んでいます。
ビタミンA、ビタミンB12、カルシウム、鉄そのほかのミネラルなど。
体の抵抗力を高めて、腸の働きをととのえます。
ワサビをちょっとずつつけながらのそばがきも良いですが、なんといっても年越しの蕎麦は細くて長いものでなければなりません。
いつまでも長く穏やかな日々を送れますように・・・
大事なことをもうひとつ。
冷え性の人や冷えが原因で胃弱になっている人は、冬に頻繁に食べるのは控え、食べるときは温かい蕎麦にしましょう。
繰り返しになりますが、蕎麦は「涼」ですからね。
今年もおつきあいいただきまして、ありがとうございました。
幸多き新年でありますように。