晩春から初夏のお楽しみの一つに「うど」があります。
室で育てた白うど(軟化うど)、山野で採れる山うど。
いずれも季節を感じる食材です。
皮をむいて酢水にさらし、短冊に切って魚介類と共に辛子酢味噌で食べたり、お吸い物の具にしたりします。
茎や、まだ開いていない葉は天ぷらに、毛の生えた皮はきんぴらに。
味噌漬けやしょうゆ漬けなどのお漬物にも。
という辺りが定番でしょうか。
うどと聞いて「うどの大木」という言葉を思い出す方も多いかと思います。
大きくなってしまったら、食用にならず、かといって柔らかくて木材としても使えないヤツという意味です。
大きいばかりで役立たず?
でも、大木といっても高さはせいぜい2メートル。
しかも、木ではなく多年生の草本。
実はこのうど、とても役に立つのです。
うどは昔から漢方薬に使われてきました。
中国ではセリ科のシシウドの根を独活(どっかつ)と呼びますが、日本では自生しているウコギ科の私たちが食用にするウドの根茎を和独活として漢方薬に使ってきました。
そして中国でもウコギ科のウドを九眼独活と呼んで使うこともあります。
歴史が長く広大な国では間違って伝えられたり、同じものが手に入らず代用品をもちいたり、異物同名が多くて、ややこしいのが実情です。
独活は祛風勝湿(きょふうしょうしつ)といい、冷えや体の中の余分な水分を除いてくれる働きをします。
冷えや湿気で足がしびれたり、関節痛、悪寒、発熱、頭痛、偏頭痛、歯痛などに使われる独活寄生丸(どっかつきせいがん)や、荊防敗毒湯(けいぼうはいどくとう)、清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)などに入っています。
冷えや湿気で不調を感じる方は多いですよね。
漢方薬にはそのような方に対応するものが上記以外にもいろいろあります。
気になる方は一度ご相談ください。