7月23日は、七十二侯の桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)です。
初夏に咲いた桐の花が実を結び始める頃です。
桐の花は薄い紫色(藤色)の筒状で大きな花を房状につけます。
高い木の枝先につけるので下から見上げても見えませんが、少し離れて眺めると見事に咲いているのがわかります。
桐の木は、北海道南部から鹿児島に至るまで生育していますが、特に、岩手県の南部桐、福島県の会津桐、岡山県から広島県東部にかけての備後桐が有名です。
成長が早く15~20年で成木になるので、昔は娘が生まれると桐の木を植え、嫁入りの時期に木を切り、その材で嫁入り道具の家具を作り持たせるという風習があったそうです。
桐材は、国産材の中では最も軽く、防湿性、防虫性にも優れているので昔から高級家具材として重宝されてきました。
日本特有の高温多湿の気候風土にも適しているため、江戸時代には、医者や薬屋が生薬を入れておくのに用いた、小さい引き出しが沢山ある百味箪笥(薬箪笥)にも使われました。
江戸後期には往診用の薬箱としても、軽くて持ち運びの良い桐材が使われていたそうです。
桐の木は中国神話の鳳凰 (霊鳥)がとまる神聖な木とされていました。
そのデザインは、日本では平安時代の頃から、天皇の衣類の刺繍や染め抜きに用いられるなど高貴な紋章として使われました。
500円玉硬貨やパスポートなど身近なところでも目にしますね。
現在では日本国政府の紋章として用いられています。