一昨日、7月28日からは七十二候の土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)です。
熱気がまとわりつくような蒸し暑い頃ですが、木や草花にとっては緑をますます濃くして夏を満喫しているようです。
この時期、高原に行くと、鮮烈なオレンジ色の花を目にすることがあります。
百合によく似た花で野萱草といいます。
日本全国の高原や山地、川の土手などに自生するユリ科の野草で、別名「忘れ草」や「忘憂草(ぼうゆうそう)」とも呼ばれています。
諸説ありますが、憂鬱なことを忘れさせてくれる、という意味もあるそうです。
ビタミンカラーの花の色が、きっと心を元気にしてくれるのですね。
野萱草のつぼみを熱湯でゆがいて天日干しにしたものを「金針菜(きんしんさい)」といい、薬膳料理や中華料理で使われます。
金針菜は、胃腸の働きを助け、ストレスや気分の落ち込みを軽くしてくれる、とても優しい食材です。
また、体の熱を冷まし、水分の代謝を良くしてくれます。
ほうれん草の約20倍の鉄分が含まれていますので、貧血や生理不順の方にもよいでしょう。
乾燥金針菜は、ぬるま湯で30分程度戻し、固い部分を取り除いて洗い、食べやすい大きさに切って使います。
スープや煮込み、きんぴらなどの料理に入れます。
生の金針菜は、春から夏にかけてが旬ですが、有毒なコルヒチンを含むので必ず加熱して利用します。
また、体を冷ます作用がありますので、妊婦さんや冷え性の方は取り過ぎに注意しましょう。
乾燥金針菜は、オルタ薬局あんず、あんず薬局各店で取り扱っております。
(写真は、同種のヤブカンゾウ)