早いもので3月も去ろうとしています。
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉どおり、あいまいだった季節感が先週あたりから一気に春爛漫になりました。
春分の日には、横浜、東京の桜開花宣言もありました。
3月末~4月ごろは、桜が関東地方を染め上げるお花見のシーズンです。
桜の咲き始めるこの時期に味噌を作ることを「花見仕込み」と呼びます。
よく知られている味噌作りの時期は「寒仕込み」といって特に2月を指しますが、なぜ寒い時期が良いとされているのでしょうか。
それは、味噌が何からできているかを思い出せばお分かりですね。
大豆、塩、そして糀。
糀は、米や麦に糀菌を生やしたものです。
糀菌は、カビやキノコなどと同じで菌類ということになります。
味噌や醤油などの発酵食品は、人間にとって美味しくて体に良い菌のみを選別し、植え付け、その菌が居心地よい環境を整えて作り出します。
できれば都合の良い菌でいっぱいにして、自然界に舞い散る他の菌はシャットアウトしたいですよね。
寒い季節は菌の活動が全体的に低下しており、家庭の台所のような雑菌が多い環境でもこうした条件が整いやすいのです。
もちろん糀菌の活動も静かなので、寒仕込みの味噌はゆっくりじっくりと熟成が進むので味わいの深いものになります。
対して、花見仕込みの良さは仕込んでから蔵出しをするまでの期間が短くて済むこと。
温かい季節は仕込んだ直後から菌が活発に発酵を進めます。
ひと夏を越せば立派に熟成された味噌のできあがりです。
どちらがお好みかは人それぞれですが、もし「2月に作りそびれてしまった!」とあきらめている方がいたら、梅雨入り前までチャンスがありますので、ぜひ味噌作りを楽しんでください。
こうじの表記は漢字の「麹」が一般的です。
「糀」は漢字に対して国字といい、日本固有の字です。
蒸した米や麦などに糀菌が繁殖した見た目から、米の花と書く「糀」という字が生まれました。
味噌づくりのときに、糀がどんな花を咲かせているのか。
お花見してみては!