今日4月1日は、七十二候では雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)です。
春の訪れを告げる雷が鳴り始める頃となりました。
春雷はその音に驚いて土の中の虫が目覚める、「虫出しの雷」ともいわれています。
春といえば桜ですね。
毎年お花見を楽しみにしている方も多いと思います。
先週後半は寒の戻りがあって横浜の満開宣言はまだですが、見ごろを迎えてきています。
お花見は古代から農民の間で行われてきました。
桜は、農耕の神「サ神」のクラ(依り代)といわれ、冬の間山奥にこもっていた農耕の神が、春になって里山におりてきたときに桜に宿って花が咲くと考えられ、桜の木の下で豊作を祈り、宴を開いたのがお花見の由来といわれています。
奈良時代になると貴族が花を楽しむための花見が行われましたが、当時は、中国文化の影響で、お花見といえば梅だったそうです。
平安時代になり、日本文化が盛んになると次第に梅の花見から桜の花見にかわっていきました。
鎌倉時代になると、武士や町民まであらゆる階層に広まり、江戸時代には庶民の娯楽として定着したようです。
花より団子という向きもありそうですが・・・
桜というと桜餅。
思いうかべるのは、あの香りです。
桜餅の香りは、オオシマザクラの葉を塩漬けにしたものです
塩漬けにすることで、天然の芳香成分であるクマリンという物質が出て、独特の香りを放つそうです。
今はお花見の桜というとソメイヨシノを思いうかべますが、ソメイヨシノは、このオオシマザクラとエドヒガンの交配種です。
江戸時代末期に染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋が、花が大きくて花つきもいいこの交配種を桜で有名な吉野にあやかって「吉野桜」として売り出しました。
それまで、お花見の主役はヤマザクラを代表とする自生の桜で、特に奈良の吉野山の桜は古来から有名でした。
「吉野桜」は大変人気となったそうです。
後に、吉野の山桜と混同しないよう、ソメイヨシノと改められました。
成長が早く若いうちから花を咲かせるソメイヨシノは、明治中期以降に全国に広がり、今では全国の80%がソメイヨシノといわれています。
ソメイヨシノは種子で自然に増えることはなく、接ぎ木や挿し木でしか増えることができません。
すべて最初の一本と同じ遺伝子を持つ、人の手を介さないと存在できない品種です。
最初の一本は、自然交雑したものを偶然発見したのか、人の手によって作られたのかはわかっていないそうです。
自然に自生する山桜と人の手によって育てられたソメイヨシノ、どちらも私たちの目を楽しませてくれます。
今年はどの桜でお花見しましょうか?