5月21日からは二十四節気の小満(しょうまん)です。
日差しが強くなり、全てのものが成長し、木々が生い茂る頃です。
この生い茂る木々のひとつに桑の木があります。
蚕(かいこ)が食べる桑の葉です。
絹をつくる蚕はお蚕さんと呼ばれ、大切にされていました。
今でこそ桑畑は少なくなりましたが、5~6月は蚕が桑の葉を盛んに食べて成長する時期でもあります。
蚕は蛹(さなぎ)になるとき糸をはき、繭(まゆ)をつくります。
この糸が絹(シルク)です。
そして蚕の食糧になる桑は私たちの健康にとっても、よい植物なのです。
戦後、だんだんと養蚕が少なくなり、桑の需要が減ってきました。
そこで桑を有効利用する研究がされました。
その結果、桑の葉に小腸から炭水化物や糖の吸収を少なくする成分があることがわかりました。
これによって血糖値が高くなりにくくなります。お茶や蕎麦に混ぜたり、サプリメントとして利用されるようになりました。
また漢方では、桑の葉、枝、根の皮、実、は生薬として使われてきました。
葉は桑葉(そうよう)といい、風邪を引いたときなどの漢方薬(桑菊飲(そうきくいん))に入っています。
若い枝は桑枝(そうし)といい、煎じてむくみや関節の不調などに利用されます。
根の皮は桑白皮(そうはくひ)といい、咳を鎮めたり、尿の出をよくしてむくみをとったりします。
7~8月になると赤黒く熟し、とても美味しくなる桑の実は桑椹(そうじん)といい、毎日食べると身体の潤いが失われずに、いつまでも若々しく過ごせるといわれています。
この実をそのまま乾燥保存したり、ジャムに加工したりします。ハーブでは桑をマルベリーと呼んでいます。
【小枝のお茶=クワ茶】
①4~6月ごろの若い枝を適量採取し、適当な長さにカットしてから、火にかけたフライパンでよく炒る。
②耐熱性のガラスポットなどに①をひとつかみと水500mlをいれて、火にかけて煮だす。
③水が400mlぐらいになるまで煮詰めたら、これを少しずつ飲む。