あんず薬局に勤めて9年目の薬剤師です。
昨年から続く新型コロナ感染症拡大予防対策として、おうち時間が増えたこともあり、簡単な気功体操を始めました。
その1つが「スワイショウ」と呼ばれる、お子さんからお年を召した方まで誰にでもできる腕振り体操です。
元気の「気」、やる気の「気」。気功の「気」は 漢方の概念でも使われています。
人体には生きていくために必要不可欠な三大要素として「気」「血」「津液(水)」があります。
そのなかでも基本は、あらゆる生命活動のエネルギー源である「気」です。
人体は気の働きにより飲食物を消化して栄養素として吸収し不要なものは排泄します。
また、からだを温める働き、歩く、走る、話すなど動きをつかさどる働き、体表面や体内で風邪ウイルスなどの外敵と闘いその侵入を防ぐ働き(免疫力、自然治癒力といわれるもの)など、これらの働きを支える力の源こそが「気」なのです。
気功はこの気を充実させ、からだのすみずみまでスムーズにめぐらせて働かせることでからだの調整を図ります。
気功体操の中で基本のスワイショウは今やインターネットでいくらでも調べることができますが、ここでは私のやり方を紹介します。
①両足を肩幅くらいに開いて、膝は軽く曲げて立ちます。
肩と腕の力を抜き、腕がぶら下がっている感じから行います。
スワイショウには、腕を前後に振る動作と左右に振る動作があります。
②腕を前後に振る
腕を肩の高さぐらいに前にのばします。
肩の力をぬいて腕を振り下ろすと自然に腕が後ろにいきます。
この動作を振り子のように繰り返します。
③腕を左右に振る
自分がでんでん太鼓になっているイメージで腕が太鼓を打つ左右のヒモになったように上半身を左右交互にひねって、腕を体に巻きつけます。
腰と顔はなるべく正面を向いたままで行います。
腕の位置や振る回数も厳密に決まっているわけではないと私は解釈しています。
振る回数については100回以上が理想のようですが、時間がない時などは10回できたら良いほうです。
それでも朝の陽光を浴びながらスワイショウをすると寝ぼけたからだに気がめぐり、今日も1日頑張ろう!と気力が湧いてきます。
漢方を学んでいると、健康なからだを得るには一服で効く特効薬があるわけでもなく、1日で手に入るものでもなく、暮らしの中で自分なりに無理をせず養生していく日々の積み重ねが大切なのだと感じます。
コロナ禍のメディア報道で不安がふくらみ、心が折れそうになることもありますが、自然界の生き物はみんな自然治癒力をもっています。
私たち人間にも気の力が備わっているのですから、今こそ「気」の力を充実させて新型コロナウイルスという未知なる外敵に備えていきましょう。