新型コロナウイルス感染症から3回目の新年度を迎えました。
新しい生活様式という名の三密回避、マスク着用など人間社会は右往左往していますが、ハナミズキやツツジは新型コロナ以前と変わらず花をつけ、新緑がまぶしい季節です。
昨年度は、あんず薬局の健康読本「未病に克つ!」をベースに、1年間をかけて季節の養生についてお話しました。
今年度は、「体質別の養生」についてお話します。
「体質」とは何でしょう。
手元にある国語辞典には、「生まれつきのからだの性質」とあります。
体質とは生まれつきだけのものなのでしょうか。
漢方では、父母から受け継いだ、生まれながらに持っているものに加えて、誕生からの地域環境の気候・風土、生活習慣、文化や宗教信仰などさまざまな影響を考えます。
中でももっとも体質形成に影響するものは日々の生活習慣で、食生活、休養のとり方、心の持ち方、居住、そして、年齢も関係します。
肥満、痩せなどのからだの形態、体の屈強さ虚弱さ、消化、循環などの生理機能、情緒の変化、感情の表現などの性格も含めて体質は環境や習慣、年月に従って変化し、形成されます。すぐに大きく変わることではないので、体質を的確に把握することが養生や健康維持の対応策をとるのに役立ちます。
そして、手近にできる飲食、休養、季節ごとの暮らし方、精神状態などから改善することでより良い体質に変えていくことができます。
漢方では、人が問題なく生命活動をするためには、「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)・精(せい)」が正しく調和していることが必要と考えます。バランスを崩すと体にさまざまな不具合がおこり、病気を引き起こす原因にもなります。
「気・血・津液・精」の失調からおこる自分の体質傾向を確認して、生活の中にそれぞれの養生を取り入れていただけたらと思います。
次回は、「気・血・津液・精」の「気」についてお話しします。
*写真は春を告げるきのこといわれるアミガサタケ。ヨーロッパでは高級食材だそうです。5~15㎝くらいで庭や林に生えてきます。都心の緑地でも探せます。